日経新聞4月6日朝刊、西條上級論説委員「核心」「社会の免疫力高めよう」を読んで、強く感じたのは次の通り。 地域の防災では、避難勧告に従わない住民の存在が悩みの種だった。
どの様に説得しても頑として避難しない人を動かす有効な手立てが見つからなかった。
しかし、実は「利他性」を誘導する避難勧告に応えて避難する可能性が高い事が分かった。
この「利他性」というキーワードは、避難勧告に留まらず、現在の新型コロナウイルスのパンデミックへの対応にも効果的と思われる。
しかし、一見損得勘定や好悪の冷徹な判断に委ねると思われる現代人が実は「利他性」に導かれるという事は、救われる思いがする。
以下は、記事の抜粋です。
『広島県で、18年夏の豪雨で再び悲劇が起きた。
土砂崩れや浸水で149人が犠牲に。
知識や備えはあっても、いざという時に行動に踏み出せる人は少数で、避難勧告や指示が出た地域で避難所に逃げた人の割合は0.74%にとどまった。
「自分は関係ない」「今すぐ避難しなくても大丈夫」というバイアスが妨げになって、危険な場所に多くの人が居続けたのだ。
(中略)
この問題を解決するために、大阪大学の大竹文雄教授と広島県は共同の調査を実施し、行動変容を促すキーワードが「利他性」であることを突き止めた。
調査では県民1万人に、激しい雨のさなかに行政から次の3つの呼びかけが届いた時に「実際に避難しようとするかどうか」を聞いた。
A「これまで豪雨で避難した人は周りの人が避難していたからという人がほとんどです。
あなたの避難は(周りの)人の命を救います」
B「これまで豪雨で避難した人は周りの人が避難していたからという人がほとんどです。
あなたが避難しないと人の命を危険にさらします」
C「広島県では夏場に土砂崩れなどが発生しています。危険が迫った時に正しく判断できる力をつけ、災害から命を守りましょう」――。
Cは従来の県の呼びかけ、AとBは大竹教授らの考案した、自分の行動が周囲の人に影響(Aはいい影響、Bは悪影響)を及ぼす点を強調したメッセージだ。
結果は、Cは行動変容を促す力に乏しく、AとBには人を動かす力があった。
(中略)
つまり、自分だけでなく他人のためにもなるという「利他性」を軸にしたメッセージのほうがはるかに効き目があったのだ。』
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