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'20/5/13 インターネット技術の必要性を正しく理解し、プライバシーを守る事と混同しない事の重要性

コロナ禍は長期間、我々の生活から離れない事が決定的になって来た。

つまり人と人との接触の仕方が根本的に変わり、如何に非接触で仕事をしてプライベートを過ごすか、その為の仕組みが急速に進展すると言う事である。

つまり、インターネットの活用により非接触でどこまで社会生活を営めるかが問われる。

以下、鈴木幸一IIJ会長の5/12ブログを要約して記載した。

『端的な最近の例が「10万円の給付手続きで役所が渋滞」である。

新型コロナウイルスで、経営や生活が厳しくなった中小企業や個人に対し、政府の補助が現金で給付されることになった。

だが、その給付で、役所の窓口が大渋滞を起こし、1人当たり1時間以上もかかっているという。

役所の対応の拙さより、給付を申し込む方々が、提出する書類の不備、マイナンバーカードを持っていないなどが原因で、係員とのやり取りが長くなっていると報じられている。

マイナンバーカードについて言えば、そもそもマイナンバーカードそのものを保持している人が、いまだ少ないという。

役所に対し、批判をする前に、新型コロナのような事態が生じた時に手際よく、事務処理ができるような仕組みをつくることに、人々が賛成をしてこなかったわけで、自業自得と言えば、言える状況でもある。

20年近く前に、「インターネットという技術革新によって、なにが変わるのか、端的に言えば、あらゆる情報がネットの上に存在するようになる。

それは、地球上のあらゆる空間で同じことになる。

膨大な情報、すべてがネット上にある。

もちろん、国家機密に関わる情報は、国家が機密情報として、閉ざされたネット空間に配備するのは当然であり、そのためにさまざまなセキュリティー技術によって守られるようになっている」、それを訴えた。

しかし、皆がその大切な主旨をイメージする事が出来なかった。

そして、もう一つ主旨のすり替えがあった。

つまり「プライバシーとの兼ね合い」である。

当時、次の様に訴えた。

「過度にプライバシーにナーバスになるようでは、インターネットの利用は遅れるばかりである。

例えば、医療にかかわる個人情報がすべてネット上にあるようになり、誰もがセキュリティーに守られた形で、何かあった場合に、許された特定の医療関係者がアクセスできるような仕組みをつくることによって、本人がどの空間にいようと、過去のすべての健康状況がわかるようになる。

あるいは、過去のあらゆる病と治療法の履歴を克明に知ることが可能になれば、治療のミスジャッジを含めて、より多くの情報を得ながら、治療が可能になる」。

これも、端的で言葉足らずの表現で話してしまい、医療関係者にも、ひんしゅくを買ってしまったのである。

当時は、個人のマイナンバーについては、国家が個人のプライバシー情報を、いつでも知り、管理できるのかといったことに対し、プライバシーを守るといった視点から、メディアも含めて反対意見が多かった。

プライバシーを守るということは、厳格なセキュリティー対策を講じるという事なのだが、国家が個人情報を管理することへの反対だったのである。

今一度、プライバシー問題を正しく理解して、ITについて真剣に考えるべき時だと思う。』